愛に恋

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一期一会

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もう、40年ほども昔になるだろうか、まだ東野英治郎さんが水戸黄門を演じっていた時代の話だ。

番組ラストでいつも次なる宿場へ向かって行く場面で終わるが、その時、必ずご老公一同、賑やかに冗談など言って和むシーンがある。

ある時、ご老公が、こんなことを言った。

「逢うて別れて別れて逢うて、末は野の風秋の風。一期一会の別れかなじゃ」

私はすっかりこの台詞が気に入り、いったい誰の言葉なのかと調べたが、パソコンなどない時代、さっぱり分からなかったが、いつだったか、何かの本で、井伊掃部頭茶の湯の席で詠んだようなことを知った。

その一期一会、やはり井伊直弼なのだ。

 

そもそも茶の湯の交会は、一期一会といひて、たとえば幾度同じ主客交会するとも、今日の会に再び帰らざる事を思へば、実に我一世一度の会也。さるにより、主人は万事に心を配り、いささかも麁末なきやう親切実意を尽くし、客にも此会に又逢ひ難き事弁へ、、亭主の趣向何一つも疎かならぬを感心し、実意を以って交わるべき也。是を一期一会といふ。

「茶湯一会集」