愛に恋

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原田 直次郎 1863年10月12日(文久3年8月30日) - 1899年(明治32年)12月26日

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靴屋の阿爺》

《騎龍観音》(1890年) 護國寺(東京国立近代美術館寄託)
おはようございます。
私は毎朝、血圧と体温を計って記録しなければいけない。
そんな時、ボーっとうず高く溜まった本を見ていると、病気などしている暇はないのだと思う。
一向に減らない積読本。
読書は格闘技だ。
生涯勉強なのだから。
扨て今朝の「モーニング・アート」は洋画家、原田直次郎の《靴屋の阿爺》を取り上げます。その前に少し余談を。
戦前の首班指名は明治以来、元老が先ず天皇に次は誰にしたら良かろうと思いますと進言して決まっていた。
その最後の元老が西園寺公望で秘書は男爵原田熊雄という人物だった。
原田は文献の至る所で出て来る男で、近衛公や木戸内府に西園寺公の言付けなどを伝えに、興津と東京の間を何度も往復している。
彼の口述回顧は『西園寺公と政局』として有名だが、その原田の父は地質学者の原田豊吉という人で、若くして亡くなったために弟の直次郎が熊雄を引き取って育てた。
即ち、本日の主人公、原田直次郎その人で、彼は森鷗外の小説『うたかたの記』の主人公、巨勢のモデルでもあり、後に鴎外は直次郎の人物評も書いている。
然し、この絵は表情も鋭く豊かで確かに洋画家だけあって外人が描いたみたいだ。
だが、その直次郎も若くして4人の子供を残して亡くなったため、作品は35点ほどしか残っていない。