愛に恋

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訃報 半藤一利

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昭和20年3月10日の大空襲で、一夜にして東京市民が10万人も亡くなったというから、その日の空襲が如何に凄まじかったかが分かる。

我々が尤も憎むべき相手は第20爆撃集団司令官のカーチス・ルメイ男です。

是非、覚えておいてください。

こいつは如何に多くの日本人を丸焼けにして殺すかを考案した奴です。

その大空襲のさ中、墨田川に飛び込んだ中学生の少年がいました。

多くの水死体が浮かぶ中にです。

溺れかかったところを後ろから衣服を引っぱられ助かったのが半藤一利少年でした。

作家になった半藤さんは「歴史探偵」などと言われ、昭和史や漱石に関する著者が多い方で、昔、『その時、歴史が動いた』では、よくゲストとして出演され、私も大変勉強させてもらったものです。

何の番組だったか忘れましたがNHK終戦前日の8月14日、岡山に疎開している谷崎の所へ荷風が訪ね、近くの宿で一泊するということがありましたが、その時、谷崎は乏しい食料事情にありながら、牛肉、卵を用意して荷風をもてなしたということでした。

その疎開先を作家の嵐山光三郎と半藤さんが訪れ、当時のことを話し合う番組があり、私も是非行ってみたいと思ったものです。

半藤さんには『日本のいちばん長い日』という名作がありますが、私が読んだのは大宅壮一の『日本のいちばん長い日』の方で、どちらも14日の御前会議から終戦に至るまっでの経緯を描いたものですが、昔、東宝映画で三船敏郎主演で映画化され、史実を忠実に再現した名作で、森師団長惨殺や阿南陸相割腹などもある感動作でした。

それら歴史の達人半藤一利さんが亡くなられました。享年90歳。

残念なことです。

ご冥福をお祈りしたいと思います。

余談ですが、谷崎に別れを告げ、電車に乗った荷風は夫人が作ってくれた昼食の弁当を終戦になったのも知らず食し、その時の感想が日記に書いてあります。

「出発の際谷崎君夫人の贈られし弁当を食す。白米のむすぴに昆布佃煮及牛肉を添へたり。欣喜措く能はず」

谷崎にとっては荷風は大恩人なわけでして。

乱筆乱文になり失礼。