熟年離婚に至った数十人の男女に直接インタビューしたものだが、下世話と言っちゃなんだが、やはり長い年月を連れ添った相手と今さら離婚とあっては気になるのが、これまた人情。
いちいち面白い、例えばこんなの。
「うちの女房は恐いんですよ。私なんか、女と一緒にいるところを踏み込まれて、掛け布団を剥がされたことがありますよ、あのときはすごかったな」
そんな経験はないが、夜叉のように怒り狂った女は恐いだろう。
その最中に踏み込まれて布団を剥がされたら、もう言い訳もなにも現行犯逮捕なわけだから、これはもう離婚しかない、然し、剥いだら夫の生尻がそこにあったでは両者のショックは計り知れない。
いやはや凄い場面だが、誰しもそこに乗り込んで行けるかといえば、これまた勇気のいることだし、ましてや同衾しているところの布団を剥いで、その物をこの目でしかと見る。
互いに忘れることの出来ない場面として生涯残るであろう、文字とおりの珍場面だ。
男女の関係は、たかがセックス、されどセックスではなく、やはりセックスで、如何にセックスが重要なのか身に染みて知っている。
男の気持ちの変化は如実にセックスに反映するが、女性は敏感なものでセックスの変化を見逃さず、それをいち早く見抜く力を本能的に身に着けている。
まあ、逆もまた真なりだが。
時間の短縮、前戯の変化はもちろんだが、回数が減れば女性は別れ支度の準備をする。
まあ、これは独身同士の話だが、決定的なのは射精をしなくなった、こうなっては9回の裏2アウト、ランナー無し。
最近、何かで読んだが、好きで好きでしょうがなかった彼氏と初めてセックスをした時、あまりの下手さ加減に驚き、急速に熱が冷めていったという話があったが、それはよく分かる。
逆に、セックスの相性が良すぎると相手の何が好きなのか分からなくなってくるという話も聞いたことがある。
セックスは靴と同じでサイズが合わないと、いつも違和感を感じる。
大きすぎても小さすぎても駄目なものはダメなんだ。
他の奥さんも言っている。
主人は元々セックスが淡泊で月に一度のペースだったものが短縮作業、気のない前戯、夫人は気が付いていた。
夫は変わった、身体に火を点けられ中途半端で彼だけがイってQでは体がもたない。
短時間で射精して、後は背中を向けてイビキ。
はっきり書いてあるが、あれが世に言う「義理マンというものだったのね」、そうなんです、一応、月一の義理マンだけはしておかなければいけないなという旦那の配慮なんですが、それすら面倒くさくなってくるわけで。
そして熟年離婚が待っていたというわけだ。
然し奥さん、これを読む限りでは、何だか奥さんはマグロ状態なんですか?
それはいけませんね、生殖行為においても男女雇用機会均等法で共同参画でいてもらわないと、マンネリに落ち込み原因になりますよ。
先に進めよう。
もう一人、現場に踏み込んだ主婦が見たものは、台所でバックからしている夫の姿。
然し、相手の女性は、どう見ても30代だが、セーラー服を着ていたという。
この変態プレーに驚愕した奥さん、もちろん、踏み込まれた方もビックリだが、見たくなかった旦那のあられもない珍現象、観られたくなかった無様な姿、バックホーーーム、タッチアウト、試合終了。
よく相手を乗り換えたという表現を使うが、男を乗り換える、女を乗り換えた、まったくよく出来た表現で、文字どおり、馬いこと言う(笑)
更にこんな際どい話も。
「工藤さん(著者)、こんな話を信じます? 女はセックスのときにクリトリスでいく女と膣でいく女と二種類に分かれるっていう説」
「はあ?」
私は思わず間抜けな声を出してしまった。そんな珍説は聞いたことがなかった。
著者は人にいろいろ訊いておきながら、自分はどうなのかとは答えていない。
ましては友人の問いに「珍説」と言っている。
これは妙だ。
珍説どころか当り前ではないのか。
僭越ながら、少ないながらも膣派は存在する。
今まで多くの女性にインタビューしながら、この手の話には触れてこなかったのだろうか。
最後に女性社長が自ら開発して爆発的に売れている、バイブレーターの話で締めたい。
社長はアダルトグッズの会社を立ち上げ、通販などで販売している。
著者は会社に出向き、その商品を見せてもらいながら説明を受けている。
こいうした製品を使用した後は、女性は若返り、血行が良くなり、頭の回転も良くなる。「つまり自分磨きなんですよ」
なるほどね、一説によると、充実した性生活を送っている女性はプライベートや仕事で、メリハリのある生活を送っているとか。
まあ、確かにこれは否定できないだろうに。
愛する人とのセックスが嫌いなんていう人はいないだろうから。
然し、昔と違い現在では熟年離婚が増え、当然、性欲の処理が大きな問題となり、アダルト産業が儲かる。
店に出向かなくても買える通販という利便性から、中高年の女性に受けているのだろうか。
著者は言う。
それは女性が内包する性が、実は生きる力と密接に結びついているからではないかと私は思った。
この本を読んだ女性の意見も聞きたいところだ。