グリコ・森永事件を題材に描かれた小説だが、ノンフィクションの中に創作を交えたようなものなのかよく解らなかった。
帯には第7回山田風太郎賞受賞作。「週刊文春ミステリーベスト10」第1位、本屋大賞第3位。圧倒的な取材と着想で、昭和最大の未解決事件を描いた傑作長編小説。
とあり、流石に読書欲をそそる書き方でつい買ってみた。
ストーリー的には、
「これは、自分の声だ」
京都でテーラーを営む曽根俊也。
自宅で見つけた古いカセットテープを再生すると、幼いころの自分の声が。
それはかつて、日本を震撼させた脅迫事件に使われた男児の声と、まったく同じものだった。
一方、大日新聞の記者、阿久津英士も、この未解決事件を追い始めるとなるが、まず、京都でテーラーを営む曽根俊也なる人物が自宅で見つけたテープの声が幼き日の自分の声だったというのは本当なのだろうか?
自分の声が事件のテープの中に入っていた!
そこからして真偽が解らないのだが、もしそれが事実なら曽根俊也ならずとも捜査に乗り出したくなるのも人情。
自分の身に譬えるなら、人生、こんな奇妙で気持ち悪いことはない。
結局、事件の犯人とされる、当時よく言われた「キツネ目の男」は逮捕されなかったわけで、その辺りがなんともスッキリしないが、本書はかなり長い本なのでお薦めとまではいかないが、ノンフィクションというよりもミステリー小説を読んでいるような感じだった。
ポチッ!していただければ嬉しいです ☟