愛に恋

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木谷千種 1895年(明治28年)2月17日 - 1947年(昭和22年)1月24日

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 《をんごく》1918年

「をんごく」は盂蘭盆に遠国(おんごく)から帰る祖霊を迎える遊戯唄のことで、子どもたちが列をなして歌いながら町内を練り歩く、大阪の夏を彩る懐かしい風俗と解説にあるが、書店でこの絵を見るとこんなことも書いてある。

 

「かつて自分も同じようにねり歩いた昔を偲びながら彼らを見送っている」

 

大正七年、遠い昔のことですね。
風物どころか日本人そのものが変わってしまた昨今。
格子越しに、子供たちを見送っている娘の、その後姿を私は静かに見守っているような心境です。
江戸情緒をこよなく愛した荷風と同じように、この、どこかうら寂しい大正の昔を偲ばずにはいられません。

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《眉の名残》 大正14年帝展の入選作品。