愛に恋

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越中褌

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人間の身につけるもので越中褌ほど俳味あるものはないよ。
この頃の男(やつ)どもはサルマタなんぞという怪しげなものを穿いているが、サルマタ・・・・、名前からして下劣じゃないか。
あんなものを穿いて平気でいるんだからキモッ玉が座らんのだ。
きんたまは悠々閑々、褌の中で遊ばせていなくてはならん。
下界の風に涼ませて気を育てるんだ。そうすれば臍下丹田に力が集まる。
 
と、佐藤紅緑先生は仰っているが、なるほど、そういうものだろうか?
 
「先生、私はブリーフなるものを穿いていまして、遊ばせるどころか締め付けているのですが、だから軽佻浮薄で何事に於いても軟弱な生き方しか出来なかったんでしょうか」