谷村新司やさだまさしという人の書く詩は、本来あるべき姿を留め指すようで、無駄を省き、流行を追わず、日本人が育んできた美を今に歌うようで素晴らしいものだと思う。
例えば『桜夜月』という歌は、作詞:谷村新司 作曲:さだまさしだが、歌詞を草案するにあたって何かヒントがあったのかと訝しむ。
歌い出しはこのような歌詞で、
だが、与謝野晶子『みだれ髪』の臙脂紫18番目の短歌に、
清水へ祇園をよぎる桜月夜 今宵会う人みな美しき
とある。
ただし、「桜月夜」は歌のように「さくらづきよ」と詠んでは字余りになるので、晶子はこれを「はなづくよ」と詠ませ、情景としてはこれから晶子が鉄幹に逢いに行く途中を詠ったものかと。
因みに臙脂紫とは「えんじむらさき」と読み、意味は、赤みのまさった紫色ということだが「みだれ髪」の章としての「臙脂紫」に関しては、その意味するところは識らない。
動画は本人歌唱がないため参照として貼っておきました。