近代批評家の神様、それが小林秀雄に与えられた称号みたいになっている。
こんな逸話があるらしい。
娘から、
「何だかちっともわからない」
と国語の試験問題を見せられ、
「こんな悪文、わかりません答えておけばいい」
と言い放ったところ、
「でも、これお父さんの本からとったんだって」。
刀の鍔(つば)についての随想。
「鍔の面白さは、鍔という生地の顔が化粧し始め、やがて、見事に生地を生かして見せるごく僅かの期間にある。その間の経過は、いかにも自然だが、化粧から鍔へ行く道はない」
う~ん・・・?
難解でも心に根づく文体らしい。
・かなしみは疾走する。涙は追いつけない。
・嫌いというのは易しいが、好きと言い出すと、まことに込み入った世界に入るものである。
・美しい「花」がある、「花」の美しさという様なものはない。
・解釈を拒絶して動じないものだけが美しい
独自の哲学を持った人生経験の豊かな小林というおじさんが体験を伝えてくれる。
そんな酔っ払いと何度も飲みたいかどうかが、好悪の分かれ目になるとか。