アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所の所長を務めたルドルフ・フェルディナント・ヘス。
平時に生きる私たちには彼の犯した所業はどうしたって解かろうはずがない。
ナチの戦犯として問われた数多くのドイツ人。
果たして彼らはどうして揃いもそろってあのような思想信条に進んでしまったのか。
誰ひとり悪魔の子として生まれたわけでもなく、幼いころは或いは厳格な両親のもと育てられた人もいただろうに。
家庭に帰れば良き夫として父として、何処にでもいるような普通の人だったかもしれないのに。
このような問題を考える時、人間の中には常に残虐性なるものが潜んでいるのかと思わずにいられない。
それが一度戦争となり民族的対決となった時、恐ろしい牙を剥くのか。
殺戮、拷問、レイプ、ありえない話ではない。
ごく普通だった一般人が戦犯として法廷に立ち、被告人として裁かれる。
戦争が齎す狂気、それが現れることのない世を願いたいものだ。
ルドルフ・フェルディナント・ヘス、最後に思ったことは、何故、自分はこのような道を選び、今ここで処刑されなければいけないのか、そう自問自答したことかも知れない。