愛に恋

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バロン西

バロン西、貴方の名誉はすでに十分に保たれた。我々は貴下を殺すことはできない。
降伏して下さい」
 
この有名な降伏勧告の呼び掛けは本当にあったのだろうか。
アメリカ側は、ロス大会の英雄バロン西がそこにいることを知っていて、降伏を勧告したということだが、真偽の程は定かではないとも言われている。
最近私が読んだ本によると、勧告そのものがなかったと書かれていたが、今となっては確かめる術はないのか。
バロン西こと、西竹一騎兵中尉がロス五輪で金メダルを獲ったのは1932年。
一躍、時の人となり英雄とたった。
現在に至るまで馬術競技で金メダルを撮った日本人は彼だけである。
 
颯爽とした出で立ち、ヨーロピアン・ファッションで身を包み、ブーツはエルメス、私服も全て外国でオーダー。
髪型も当時欧米で流行のヴァレンチノ風。
帝国軍人らしからぬ軍人だった。
 
後にはロスアンゼルスの名誉市民にもなり、現地で行われた金メダル受賞パーティーには、あのダグラス・フェアバンクスも駆けつけたほど盛大なものであったとか。
彼の栄華が偲ばれる逸話ですね。
 
バロン西の名は愛馬ウラヌスと共に永久不滅だが、余生を送っていたウラヌスとの最後の対面は昭和19年の8月。
今生の別れにお守りとしての立て髪を持ち帰ったとか。
 
最期の様子は不明らしいが、あの硫黄島の激戦、ロス五輪の金メダリストは如何な心境で戦っていたのか。
彼の死後、陸軍獣医学校でウラヌスも程なく老衰で亡くなる。
気になるのはこの記事。
 
西が死ぬまで離さなかったウラヌスのたて髪が、平成2年にアメリカにおいて発見され、現在では軍馬鎮魂碑のある北海道中川郡本別町の歴史民俗資料館に収められている
ホントかオイ!
一度見たいものだ!
ウラヌスとの別れが目に浮かぶようで心が熱くなる。
 
彼を書いた作品では城山三郎の『硫黄島に死す』という小説がある。