愛に恋

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誰がリンドバーグの息子を殺したか ルドヴィック・ケネディ

ジェームズ・スチュワート主演の『翼よ、あれがパリの灯だ』は有名な映画なので観た人も多かろう。
5月21日は「リンドバーグ翼の日」と言われているが、1927年5月20日の早朝7時52分、ニューヨークを飛び発ったスピリット・オブ・セントルイス号は、33時間30分後の5月21日にパリのル・ブールジェ飛行場に着陸、25歳の無名青年が単独大西洋無着陸横断飛行に成功、この世界初の快挙が映画化されたものだ。
 
英雄の凱旋に大統領がわざわざ軍艦を差し向けたほどで、ニューヨークのパレードでは1800トンもの紙吹雪が舞ったとか。
その英雄の一人息子が、1932年3月1日に身代金目的で誘拐され殺害されるという痛ましい事件が起きる。
 
やがてドイツ系移民の大工、リチャード・ハウプトマンという男が逮捕され、数々の偽証やでっちあげで電気椅子に送られる世紀の冤罪事件を暴いた本がこれで、控え目で大人しいリンドバーグのカリスマ性が、アメリカ市民の同情を買い、何としても犯人逮捕という国民の願いが焦りを招いてしまったような事件だった。
今日でもやはりハウプトマンは無罪だったという説も多く、アメリカ司法史上に汚点を残す結果になった。
 
事件当日にはアリバイがあり、身代金として使われた金が犯人逮捕後も街で出回っていたとか、色々言われているが肝心の警察が証拠そのものを改竄していた。
ナチスの台頭から反ドイツに傾いていたアメリカの感情も手伝ってか、最後まで無罪を主張し続けたハウプトマンだったが。
 
当時は国民を挙げての興奮状態にあったのか、裁判が公開ショーのように扱われ、追い詰められていくハウプトマンを見ていると、冤罪の恐ろしさを見せ付けるようで怖い。
本表紙の右側がリンドバーグ夫妻で左がハウプトマン夫妻。
 
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