「どうしなすった旦那」
「・・・・・」
「いやに冴えない顔じゃねえか」
「・・・・・」
「そうか、ご主人が買い物に出かけちまってまだ帰って来ないってなわけだね」
「・・・・・」
「で、待ちくたびれて、顎も疲れたという塩梅かい」
「・・・・・」
「なるほどね、いえね、あっしも最近はどうもいけねえ」
「・・・・・」
「膝の痛いのは治ったんだけどね、肩凝りがね、あっ、そうそう厄介なのは眠気でね」
「・・・・・」
「茶店で柄にもなく本なんか捲ってるとね、瞼がいけねえ、重たくなるんでさあ」
「・・・・・」
「旦那も眠たそうな顔してるじゃねえか」
「・・・・・」
「そんな時にね旦那、いいものがあるんですよ」
「・・・・・」
「南蛮渡来の唄なんですけどね、眠たい時にはこれに限りやす」
「・・・・・」
「まあ、聴いておくんなせぇ」
「!?」
「疲れや睡魔なんていっぺんに飛んで行きますぜ、ぺんぺん草なんか取ってる場合じゃありませんよ旦那」
「!」