愛に恋

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残酷美術史: 西洋世界の裏面をよみとく 池上英洋

 
 『拷問全書』『日本死刑史』など読んでいると何ゆえこんな本が読みたいのか、
エロ本を読むのに似て、あまり堂々とは読めない。
人類史は殺戮の歴史と言ってもいい。
有史以来、想像力の全てを注いであらゆる拷問を考案してきた。
そのバリエーショの広さは即ち人類の負の遺産だろう。
それら非人間的殺害を行って来た人類には驚くばかり。
人は斯くも残忍になれるのかという追及の書がこの手の本。
 
しかし価値観は時代によっても異なるので娯楽の少なかった昔、例えばローマ時代以降、処刑は庶民の楽しみの一つであったのか公開処刑となると多くの人がパンやワインを持参で見物に来る。
つまり、私たちがその時代に生きていれば刑場に足を向けるということもあり得るというわけだ。
 
ここでいちいちその残虐性を説いていくことはしないが、処刑のみならず病気治療に至っても迷信に惑わされ、とんでもない苦痛を患者に強いる。
麻酔のない当時にあっては外科手術なんて聞いただけでも卒倒する。
それらを絵として残した画家、処刑や拷問に立ち会った執行人は身の毛もよだつような行為にストレスは感じないのだろうか。
怖ろしきは人間なり。
 
南北戦争時代の映画を見ていると脚をノコギリで切断する場面がよく出てくる。
患者には強いアルコールを飲ませ、口に木片を噛ませ4人がかりで手足を押さえ、医師が麻酔もなしに手術を執行する。
本当に現代に生まれてよかった。
 

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