愛に恋

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ルポ 中年童貞 中村淳彦

 
初見で購入を決意し読んではみたが題材に興味はあるものの、私ならまず書かない内容だ。
ある調査によると、日本では中年童貞と言われる人は209万人も存在するとか。
原因として母親への依存体質が強く精神年齢が異常に低く過保護、過干渉で自立出来ないことを挙げている。
 
「客観性のなさから自尊心が肥大し、女性に対する純粋さ、幼児性を秘め、社会からズレたまま精神的に成長することなく、すでに完全に取り返しのつかない40代に突入すると、いつかすべてを受け入れてくれる天使のような素敵な女性が現れるという妄想が強くなる」
 
とかなり手厳しく書かれている。
故に、年齢に関係なく童貞で二次元好きの処女信仰があり、多くのオタクは処女以外は人間じゃないといった思想を持っているとあるが、私には何とも言いようがない。
好きなものを買い続けいる人生は幸せかもしれないが、それがリアルな女性の代替である二次元美少女となると、簡単には想像できないディープな哀愁を感じるとも。
 
オタク・コンテンツに依存して終末を童貞のまま迎えるのが、どういうことなのか想像できないが、ここまで書いては身も蓋もなかろうに。
ファッションにも言及してる。
 
「服にお金を限界までかけないと、結果論として、あの服に行きつくわけ」
 
そこで登場するのがオタク・ビジネス。
恋人のいない男性をターゲットに徹底的に幻想を提供し、消費意欲を向上させようという資本主義の原理だが、消費者の側は至っては幸せそうだと書いてある。
それはそうだろう。
本人が良ければ全て良しという帰結は無理からぬところだ。
しかし三島由紀夫は斯く言う。
 
「男性独自の冷静沈着、客観的な判断力というのは、多く童貞を失うことによって得られるものだからであります。童貞の間のものの考え方、どうも禁欲からくるマイナスがある。『貞潔はある人々においては徳であるが、多くの者においては、ほとんど悪徳である』とニーチェも言っているとおりです」
 
結論として異性体験は18歳~25歳ぐらいの間に済ませるのが理想らしいが、この枠から洩れる人は当然出てくる。
その人たちをどうしたらいいかと言われれば私には妙案はない。
 

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