愛に恋

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黄昏のビギンの物語 佐藤剛

 
今でこそ全くカラオケに行かなくなったが以前は『君こそわが命』と『宗右衛門町ブルースを十八番にしていた時期があった。
本来はサザンを歌いたいのだが声質が合わず、どうも演歌調の歌が得意で、何かと言えばよく歌い、またよくリクエストされたものだ。
水原弘の『黒い花びら』を知ったのはいつのことか記憶にないが、知っての通り第1回レコード大賞受賞曲で作曲:中村八大、作詞:永六輔
 
と言っても当時はレコード大賞そのものが世間に認知されておらず、当の水原さえレコード大賞、何それ?」ってなものだった。
作曲家協会の古賀政男服部良一は、今までになかった日本のポップスを是非受賞させるため、まだ協会員でなかった中村八大を会員に引っ張り込み、どうしてもこの曲を受賞させたかったらしい。
大賞を獲るためには協会員であることが必要条件。
 
余談だが個人的には中村八大が国民栄誉賞を受賞出来なかったのが未だに疑問。
昭和30年代八・六コンビでどれだけの名曲を世に送ったことか。
更に坂本九を入れると六・八・九と言われる時代だった。
 
まあ、それはともかく本来なら名曲『黒い花びら』を歌いたいところだが何と言っても水原の歌唱力は絶品で真似できない。
彼の歌唱法は音符に言葉を乗せるというよりは、少し後から、テンポをキープしながら歌う、いわゆる“ため”を効かせたアフター・ビートで歌うため、どのように練習してもあのようには歌えない。
簡単に言えば僅かだがメロディより歌唱の方が遅れて出てくるような感じに聴こえる。
 
それをじっくり聴くため水原弘のベスト盤を購入したことがあった。
『君こそわが命』『黒い花びら』以外にも気に入った曲が2曲、『五月のバラ』と『黄昏のビギン』で、どこかで聴いたことがある曲だとは思ったが水原弘の曲だとは知らなかった。
 
その忘れ去られていた名曲を、ちあきなおみが91年にスタンダード・ナンバーとしてレコーディング。
それまでにも細々ではあるが他の歌手も歌ってはいたが、ちあきなおみが歌ったことで俄然注目度が増し名曲度も輝いた。
 
彼女はジャズ、シャンソン、ファドと何でも歌いこなし、今や根強いファンから復帰待望論まで出ているがおそらく二度と戻ってくることはあるまい。
子供の頃から進駐軍キャンプで歌っていた人に江利チエミ雪村いづみ弘田三枝子ちあきなおみがいるが偶然にも私とちあきなおみは出身地が同じで馴染みがある。
ともあれ、本書は中村八大の天才的な作曲家ぶりを紹介した本だった。
 

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