坂本清馬という人の名は諸々の本で一度ならず読んだことがあったのだろうが、はっきり記憶に留めていなかった。
本書は、この坂本清馬が最後まで生き残って再審請求の訴えを起こした人物として取り上げている。
75歳で再審請求、89歳で没し、実に凄絶の人生だった。
しかし、いくら不敬罪があった世とはいえ、あの程度の計画で死刑にされては堪らない。
後に総理大臣になる平沼騏一郎が大審院次席検事を務めていたが平沼は論告求刑で「動機は信念なり」と言っているが、どうもこの事件に関しては、何が何でも死刑にしてしまえという平沼の意向がちらほら見え隠れするような気もするが。
しかし、死刑になった12名以外の人たち、例えば高木顕明ら獄中自殺、獄死した人たちの最期がどのようなものであったか全く知られていないが、私の知る限り彼らを扱った本を見たことがない。
もう少し、光を当てて上げないと、どうも浮かばれないような気もするが。
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