愛に恋

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寺田寅彦は忘れた頃にやって来る 松本 哉

 
まず、寺田寅彦と言えば「天災は忘れた頃にやって来る」という格言を残したことで有名だが、私の知っている寺田寅彦とは、その程度でしかなく、他に、漱石門下の人で、随筆「柿の種」を著したことぐらいかしか知らない。
 
特段、寺田寅彦に興味があったわけではないが、何しろこのタイトルに惹かれて購入してしまった。
寺田寅彦とは如何なる人物だったのかというわけである。
簡単に言えば物理学者にして随筆家ということになるが、一読する限り、まあ、一般にはあまり興味の持てないようなことを丹念に研究するのが彼の得意分野ということになろうか。
例えばこんなことである。
 
・暫く待てばガラ隙の市内電車がやって来るのに何故みんな最初にやっ
 て来た満員電車に先を争って乗りたがるのか。
・サイコロを295回振ったところ、74回は2が出て、他の目は1が46回
 3と4が47回、5が45回、6が36回、明らかにクセがあることを発見
 した。
・尺八が発する音の研究
・自然界の縞模様や割れ目の研究
・渦や火花の研究
・椿の花の落下、藤の実のはじけ方
・トンビと油揚げの関係
・茶碗の湯
 
つまり、そこに潜む自然界の不思議を解き明かそうとこれらの論文を書いた。
他にこんな研究もある。
 
・金盥とコップとの摩擦によって発する特殊な音
・窓ガラスに付着した水滴の大きさ、並び方の統計的相違
・湯を沸かすときの湯気の立ち方と湯の温度の関係
・蛇口から出てくる水のふるまい
 
寺田寅彦がやりたかった物理学とは何か。
何が専門なのか、私にはまったく解らない研究ばかりだ。
 
因みに漱石との関係は寺田寅彦が熊本高等学校へ入学する寸前、漱石が教授として赴任したことに始まり、俳句の添削をお願いしたことから正岡子規を紹介され、二人の巨人と付き合うことになったとか。
 
ともあれ、物理学などは私の専門外も専門外だが、寺田寅彦はとにかく随筆を沢山書いた人として知られる。
ファンも多く存在するということからして、やはり寺田寅彦は忘れた頃にやって来るということなのだろうか。
 

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