「若さは、夢であり、花であり、詩である。永久の夢といふものはなく、色褪せない花はない。また詩はその形の短いところに一層の力がある。若さも亦、それが滅び、それがうつろひ、それが長くないところに一しほの魅力がある」
これは佐藤春夫の名言だが、流石に門弟三千人と言われるほどの人物。
若さに対する表現があまりにも素晴らしい!
以前、ある人が教えてくれた不倫を主題にした文学の中にこんな短歌があった。
命裂かむ しがらみ去れと 期しつつも 陽の傾けば 汁の菜きざむ
教えてくれた人に感謝もしているが、いや、それにしても文学の持つ文字の力、表現力、またその美しさに感服する。
こんな言葉はどうだろう。
槿花一朝の夢(きんかいっちょうのゆめ)
人の世の栄華の儚いことの譬え。束の間の盛り。
謂れはむくげの花が朝咲いて、夕暮れには散ることから。
美しい譬えだ!
朔太郎は「三木露風一派の詩を追放せよ」などと荒っぽいことを言っているが、私は20歳頃に読んだ露風の『接吻の後に』という詩に痛いほどの感動を覚えたものだが。
「眠りたまふや」。