愛に恋

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評伝・伝記・自伝・追悼文(読書録)

村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝 栗原康

世に言う甘粕事件を知るには数人の著名人の経歴も一応知っておかなければならない。 第一に大杉栄、そして甘粕正彦憲兵大尉、伊藤野枝、神近市子、辻潤、平塚らいてう 荒畑寒村、山川均、堺利彦などだろうか。 中でも大杉と甘粕に関する研究書は多い。 確か…

ルイズ―父に貰いし名は 松下竜一

一代の風雲児といわれた大杉栄と伊藤野枝が殺害されて90年余。 大杉38歳、野枝は28歳という短い生涯だった。 現在、二人の名がどれほど認知されているか知らないが、私が彼らの名に初めて出会ったのは、おそらく昭和47年頃ではないかと記憶する。 その後、一…

心淋しき巨人 東郷青児 田中穣

これを読むと、美術界に於ける東郷青児の評価は芳しくない。 しかし、著者は彼を擁護する為にこれを書いたのか。 「東郷という男は、本当は、美術界で言われるような悪党ではないのかもしれない」 が、東郷を取り巻く環境は名声こそ二科会の帝王として高い地…

殉愛 原節子と小津安二郎 西村雄一郎

本来なら『純愛』と書くのが通常だが敢えて『殉愛』と表記するところに意味深なもを感じる。 並々ならぬプラトニックな愛が存在するかのようなタイトルだが、果たして本当のところはどうなんだろうか。 殉愛とは愛に殉ずるということからして、余程深い思い…

ゲーテさん こんばんは 池内紀

文豪ゲーテなんて知らないもんね~! ショーペンハウアー、カント、パスカル、シラー、ハイネ、な~んにも解りません。 だから、私も訪ねてみたくなった。 「ゲーテさん こんばんは」 そして、話しを訊いてみた。 だが、やっぱり解らなかった。 ただ、天才は…

不屈の横綱 小説 千代の富士 大下英治

あれは、いつの事だったか? 30歳を少し出た頃だと記憶するが、その日、名古屋栄町のとあるホテルのラウンジでコーヒーをひとり飲んでいた。入店した時には気付かなかったが隣の席に大鵬親方が座っているのを見て驚いた。お連れさんが二人、おそらく奥さんと…

危機の外相 東郷茂徳 阿部牧郎

書棚を見ている。 外務大臣経験者の本を過去、何冊読んだか? 陸奥宗光 大隈重信 加藤高明 小村寿太郎 幣原喜重郎 犬養毅 斎藤実 広田弘毅 野村吉三郎 松岡洋右 東郷茂徳 重光葵。 他に首相が一時、兼任している場合もあるので。 伊藤博文 西園寺公望 山本権…