愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

フリーダ・カーロ 1907年7月6日-1954年7月13日 (47歳)

1939 フリーダさん、貴女が大変な人生を歩まれたことは知っています。 本当に言語に絶する苦痛を味わったこと御察し申し上げます。 そんな貴女に対して本当に失礼な話ですが、私は貴女の絵が好きではありません。 自画像ばかりを描いている点も好きになれな…

君は隅田川に消えたのか 藤牧義夫と版画の虚実 駒村吉重

昭和の初め、葛飾北斎の「隅田川両岸一覧」に触発され、憑かれたように絵巻の制作にのめり込んだ版画家の作品で総延長60メートルに及ぶ桁外れの大作。 隅田川沿いの街を一本の細筆を使って墨だけで描き、昭和10年9月2日、その男は忽然と姿を消す。 男の名は…

Hard Blues Shot

「どうしなすった旦那」 「・・・・・」 「いやに冴えない顔じゃねえか」 「・・・・・」 「そうか、ご主人が買い物に出かけちまってまだ帰って来ないってなわけだね」 「・・・・・」 「で、待ちくたびれて、顎も疲れたという塩梅かい」 「・・・・・」 「…

老後破産: 長寿という悪夢 NHKスペシャル取材班

昔、青島幸男が『人間万事塞翁が丙午』という小説で直木賞を受賞したことがあったが、当時はこの難しいタイトルの意味が分からなかった。 語源は人間万事塞翁が馬で人生における幸不幸は予測しがたいという意味だが、『老後破産』とはまさにそのことを意味す…

鶴屋南北の恋 領家高子

鶴屋南北、彼の作品ほど私の少年期を苦しめたものはない。 父の言う怪談が何のことか分からず「階段」がなぜ怖いのかと薦めらるまま見たのが奈落の一丁目。 真夏の夜の「四谷怪談」、これほど恐ろしい映画もなかった。 天下の二枚目、長谷川一夫演じる田宮伊…

イナ・フォルスマン

画家や小説家、または映像作家などはビジュアルの良し悪しなど関係なく、作品その物で勝負しなければならないが、ひとり昨今の音楽業界は様相を異にしている。やたら名曲と言われるものが多い割には一般庶民は歌えない。去年のレコード大賞の曲も思い出せな…

エゴン・シーレ 日記と手紙 大久保寛二

スペイン風邪で島村抱月が死んだのは1918年(大正7年)11月7日。 大山捨松も大正8年2月18日に同じ病で斃れ、全世界では約5000万人が犠牲になり日本でも48万人が命を奪われたとか。 第一次大戦の最中で、その一人にエゴン・シーレも含まれていたわけだが、6…

ギュスターヴ・クールベ  1819年6月10日-1877年12月31日 (58歳)

《絶望》1843-1845年 《小麦の選別》(1854年)ナント美術館 《カスティージョ・デ・チロン》(1873年) 《眠っている糸紡ぎ》(1853年)ファーブル美術館 《トルーヴィルの黒い岩》(1865-66) 《女とオウム》(1866年) 《源泉》(1868年 ) 《眠り》(186…

ヒキコモリ漂流記完全版 山田ルイ53世

本作は大手出版社113人の投票によって『編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞』に輝いたとあるが、私としては、どうも納得がいかず異議というか疑義というか腑に落ちない。 著者を最近、あまり見かけないと思たら、こんな本を出版していると知って買って…

One moment in time

www.youtube.com 感動を得る喜びそれが生きる目的汚れ荒んだ心を洗い流すにはほかに手がなし 黒人女性ボーカル全ての楽器を凌駕していま私の胸に響く歌い継がれ永遠なれホイットニー・ヒューストン

ヘンリー・ミラーのラブレター ホキ・徳田への愛と憎しみの記録 江森 陽弘 

最近、日本でもドン・ファンなる人が死んで20代の妻がいることを知ったが、芸能界でもこのような歳の差婚は珍しくない。 まあ、他人事で要らぬお世話なのだが、75歳になった時にいくら美人でスタイルがいい相手が現れたからといって28歳の女性と結婚できるか…

ブリジット・バルドー 1934年9月28日-

1961年 『ビキニの裸女』『裸で御免なさい』『素直な悪女』なんてお色気映画に出ていたのは遠い昔で、聞こえてくるのは動物愛護活動家としてのキャリアで数多くの受賞歴があり、少し近寄りがたい存在になってしまいましたが、私が最後に貴女をテレビで見たの…

カチンの森 ポーランド指導階級の抹殺 ヴィクトル・ザスラフスキー

さてと、この難儀な本を何から書き始めたらいいのか実に悩ましい。 多少なり記憶も総動員して書くので不備な点があればご容赦願いたい。 まず大戦勃発の1939年といえば昭和14年になるが第一次近衛内閣退陣後、登場したのが枢密院議長などの経験者平沼騏一郎…

台風被害

おはようございます。 ブログ更新が台風の影響で出来ない状態になっております。 地域一帯、電気、水道などライフラインが大規模災害で遮断され不便しておりインターネットも通じておりません。 風呂も入れず、猫や犬も逃げて行く体臭を振り撒いておりますの…

原民喜 死と愛と孤独の肖像 梯 久美子

現在、お気に入りの作家が4人いる。 朝井 まかて 1959年8月15日 - 梯 久美子 1961年 - 村山 由佳 1964年7月10日 - 堀川 惠子 1969年11月27日 - 単なる偶然だが4人とも女性で、朝井と村山は小説家、他はノンフィクション作家で甲乙つけがたい面白さがある。 …

昭和の記憶―写真家が捉えた東京

戦前から高度成長期あたりの、まだ貧しかった懐かしい日本の姿を捉えた写真集で木村伊兵衛さんや土門拳さんらが写した生きる逞しさをカット切りしたような作品。 上の写真は当時の子供たちに人気のあったチャンバラごっこ、この時代、正義の味方は鞍馬天狗で…

最終の花 小堀杏奴

初版は昭和26年11月25日、右は見開きの1頁目で曼珠沙華の絵が描いてあるが、敗戦後の事情もあるのかタイトルなんか万年筆で書いたような稚拙なもの。 サンフランシスコ平和条約の署名はこの年の9月8日で日本はまだ独立国ではない。 物がない時代、出版業界も…

東京 被服廠跡 大正12年9月1日

時計を見るに、午前6時前だった。 まだ、2時間は眠れたろうに、爆雷のような音で目が覚めた! そう、近くに雷が落ちたのだ。 さすがに睡眠が足らず、なんとかまだ寝ようと努力したが、夕べから調子の悪かったお腹のように雷様はゴロゴロ、ゴロゴロと一向に鳴…

子供より古書が大事と思いたい 鹿島茂

殆どタイトルに誤魔化されたといっていい。 一見、読み易そうで簡単な文句。 「子供より古書が大事だと思いたい」 著者の略歴を見ると東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。 専門は19世紀フランスの社会と小説。 博士課程どころか白紙課程終了の私には…