愛に恋

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獄中十八年 徳田 球一 (著), 志賀 義雄 (著)

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徳田球一、志賀義雄なんていったって今の時代、共産党員ぐらいしか知らないだろうが、だからと言って私は党員ではない。
ただ歴史を学ぶ者としては相反する勢力を読むのも大事。
古くは家康と光成、開国派と攘夷派、勤王か佐幕か。
大久保と西郷、薩長と自由民権、そして皇道派と統制派。
それで天皇制と共産主義となる。
徳田と志賀は共に共産党の結党に関わった人物で、徳田は第1回普通選挙労働農民党から出馬して落選。
治安維持法違反で逮捕され、これが三・一五事件の発端となった。
志賀も三・一五事件において検挙され、共に網走に送られ湿舌に尽くしがたい塗炭の苦しみを味わっている。
何しろ冬の網走は零下30℃だというから、これでは風邪をこじらせ肺炎で亡くなって下さいと言わんばかりではないか。
そもそも共産党侵略戦争反対とは云うものの、昭和史というのは断面を切って、はい侵略というほど簡単なものではない。
戦前の共産党の言い分は御尤も。
軍閥、財閥を解体して民主的な国家を創る。
確かにそうだ。
がしかし、日露戦争で多くの血を流して勝ち取った満州の権益はどうする。
どこの国でも軍部はメンツを重んじる、そう簡単な問題ではない。

左派として活動するのが間違っていたとは言わないが、右派として国家防衛に携わることもあながち間違いだとは思わない。

ましてや石原関東軍高級参謀の唱えた五族協和は侵略だけを意図したわけではないと思っているのだが。

ともあれ、18年という長きに渡り、拷問なっどで転向していく同志たちを見ながらも、あくまでも初志貫徹をの強い意志で、GHQの思想犯解放までよく頑張ったことは評価していいと思う。