愛に恋

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外交回想録 重光葵

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でかした、これで東郷茂徳が獄中で書いた『時代の一面 大戦外交の手記』と合わせて大戦期で両外務大臣の手記を読んだことになる。

ただ重光には著作が沢山あり、ぼちぼち読んでいきたいが何分値段が高い。

本書は第一次大戦頃から外務大臣になる直前あたりまでのことが書かれているが、東郷さんと同じく記憶を辿って書くあたり、流石に頭脳明晰と言わざるを得ない。

両大臣に言えることは、一貫して平和を希求するもので決して侵略者などではない。

共にA級戦犯の汚名を記したが、後世の日本人としては名誉復権されたしと願うところだ。

赴任した各国で日本の国益を守りつつ、紛争処理、条約改正など尽力したこと甚だしく、特に群雄割拠の状態にある中国では交渉も難しく、海外からは外務省と参謀本部の二重外交と批判されることも多かった時代。

 然し、ソ連以外からの各国外交官の信頼も熱く、特にチャーチルとの親交の深さには驚いた。

松岡洋右の前に重光が外務大臣になっていたら三国同盟や日ソ中立条約などはどうなっていただろうか。

歴史の分岐点と言わざるを得ない。

本来なら、この時代の外務大臣に関する評伝などは、こんな簡単な感想文で済むはずがないのだが、何しろ情報量が多く書ききれないため、簡略化して書いておくだけにした。

悪しからず。