愛に恋

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破滅―梅川昭美の三十年  毎日新聞社会部編

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梅川昭美では分かりにくい方でも、この写真を見れば一目瞭然。

1979年、大阪の三菱銀行北畠支店に猟銃を持って押入り、銀行員、駆けつけた警官を射殺して閉じこもり、日本中を震撼せしめた大事件だった。

事の顛末を当時、週刊誌で読んだものの、本当に行内で猟奇的なことが起きたのか半信半疑だったが、本書は毎日新聞社会部編となっているので事実なのだろう。

女行員を全裸にしたまでは知っていたが、猟銃で撃たれた人の耳を行員に命じて削ぎ取ったということは初めて知った。

更にトイレに行くことを禁じ、床でするよう命じられていたとも書かれている。

梅川が行内で殺害したのは4人、人質になった人たちはかなりの恐怖感を味わったようで、二階に捜査本部を設けた警察が時折、階段に築いたバリケードから顔を覗かせたりすると、女性たちは、「貴方たち警察でしょ、来ないで」と叫ぶほどで、それほどに梅川の支配が徹底していたことを伺わせる。

あれから41年、当時、人質になった行員たちはどうしているだろうか。

想像を絶する恐怖を味わえばトラウマになってもおかしくない。

ましてや、警察官の突入で梅川射殺とあっては、さぞ怖かったろうに。