愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い 畠山理仁

f:id:pione1:20200424182621j:plain

『黙殺』なんて書いてあるから、一見、鈴木貫太郎内閣の「黙殺」かと思ったが全く違うものだった。

所謂、選挙戦における泡沫候補のことで、著者は約20年に渡って当選するはずのない彼らが供託金300万円も払って何故出馬するのか、その疑問を追求すべく密着取材している訳で、それは私も昔から疑問に思っていたことなので興味本位で手に取った。

近くは先の東京都知事選で、各メディアは小池百合子氏を含め主要3候補ばかりを取り扱って、なぜ他の候補は「黙殺」されているのか疑問に思っていたが、NHKの政見放送を見て納得せざるを得なかった。

失礼ながら、どう見ても尋常な感覚とは思えない、もっと言えば常軌を逸しているパフォーマンスの候補ばかりで、供託金300万円をわざわざ捨てるようなもの、それこそ、その感覚が解らない。

 

然し著者は、各候補一律300万円払っているわけだから平等に扱うべきだと主張する。

まあ、確かそれはそうだ、問題は生放送中に何をやり出すか分からないという局側の事情もあったのではなかろうか。

それに彼らの理念もどうかと思う。

或る人の構想を見て視よう。

 

「大宇宙楽園構想」「地球規模の公共事業・大陸砂漠緑地化・森林都市建設ーオアシス計画」を推進し、人類軍事紛争の終結、世界の法治統合、宇宙進出を目出していると、こういう政策を掲げているがどうだろう。

更には首都を福島県、東京は天皇主導の観光都市と変わり、構想は大風呂敷にも数千あり、目次だけで一冊の本が出来るという。

一見、荒唐無稽な話だが、どんな候補者でも得票率ゼロということはないらしい。

私なら絶対投票しない候補だが、その理由の一つにこんなことも言っている。

掲示板の前で小池百合子増田寛也のポスターを目にすると、

 

「こいつらが日本を戦争へと進めて行くんですよ!許せない」

 

今の時代、日本が何のために戦争を仕掛けなければならないのか。

それに拠ってどんな利益があるのか。

現在の日本では、そう簡単に戦争など起こせるものではない。

どうも言っていることが分からない。

戦争好きな安倍総理というフレーズを見たことがあるが、戦争体験がないのに戦争好きとはこれ如何に。

戦争法案、戦争反対というが、いつ誰が何処を攻めるというのか。

国際社会がそれを黙って放置しておくとでも思うているのか。

彼の主張を要約すると以下のようになる。

 

主張:誰もがみんな愛し愛され慈しみあうために生まれてきています。なかよくたすけあって、くらしましょう。

理想:誰もがほどほどやっていける社会。みんなが納得いく社会。毎日ひなたぼっこしてても赦される社会。

 

なるほどね、犯罪もなくなり、みんなが手を取り合って毎日ひなたぼっこをしながら、笑いに包まれた世の中を目指す。

是非、知事になってどういう政策なら、そのような社会が実現できるのか、部下を統率してお手並み拝見仕ろう。

私には心底分からないが。

何故彼らはそのような大構想を思い描くに至ったか。

それを実現するため300万円を払って立候補する。

著者が言うように立候補者全員の政策を聴くのは筋かも知れない。

然し、都民が唖然とするような理想社会の建設を目指す政権放送、彼ら全員の話を聞くうちにスタジオ内は混乱するばかりでは。

個人的には全員出場の下、討論会をやるのも面白いとは思ったが。

 

ポチッ!していただければ嬉しいです ☟