世界一難解と言われる『去年マリエンバートで』を観てきた。
この映画の存在を知ったのは、丁度、30年程前のことで『洋画ベスト150』という本を買って以来、150作品の内、未だ見ていない作品を全部見ようと思い、当時はまだVHSの時代で、レンタル屋を手あたり次第探して見たが、遂に探しきれなかった作品で『フェリーニの8 1/2』とギリシャ映画の『旅芸人の記録』以上の難解さとあらば、どうしても見たかった映画なのだ。
それが、今まで知らなかった、小さな映画館で今日が最終日とあって、これは是非にともと思い、少し遠いいが重い腰を上げることにした。
分かりにくい所で、人に訊いたりして見つけた映画館は本当に小さく、客席23、客数10人、内女性2人。
こんな知る人ぞ知るようなレアな映画を見にくるとは、よっぽど映画好きなのか、私の場合、初めから理解しようと思って来たわけではない。
どんなに難しい映画なのか、ただ、それを知りたくて遥々遣って来たようなものだ。
上映時間1時間40分。
もう、ド初っ端からして解らない。
多くの人物が登場するが、みんなはまるでマネキンのように瞬き一つせず動かない。
一転、動き出したかと思うとカメラワークはいろいろ人の間を縫うように動き周り、それぞれの会話を脈絡もなく拾っていく。
客の中には居眠りする人二人。
私も睡魔をなんとか我慢しながら、暫し、白河夜船。
まあ然し、会話を追いながらも意味を解せず、どうも二人の男女が駆け落ちでもする話をしているのか、それが去年マリエンバートで起こったことだと言いたいのか。
が、突然の「FIN」、呆気にとられる客、そして流れ解散。
何とも感想が書けない、ただ、苦節30年、何て言うと大袈裟だが、やっと念願叶ったという気持ちではある。
だが、この映画を理解する人もいるのだ!
ヴェネツィア国際映画祭、金獅子賞受賞。
すんばらしい!
パンフレットも1000円と高かったが、もう二度と手に入らないと思い購入してきた。