いずれも『罪と罰』を読んでない岸本佐知子(翻訳家) 三浦しをん(小説化) 吉田 篤弘(小説化) 吉田浩美(作家、装幀家)が集まり、 『罪と罰』について語り合うという設定だが、何ともまあ無理のある会合ではないか。
初っ端なにこんな事が書いてある。
『世界的名作と呼ばれる小説はこの世に数えきれぬほどあり「さてあなたは、いったいそのうちの何作を読みましたか」という質問こそ、小説にたずさわる者がもっともおそれている質問である』
さもありなん!
「えっ、小説家のくせに読んでないの」
と言われることは、さぞ屈辱だろう。
斯く云う私も、世界的名作、特に長編となると読んでないものが殆どです。
長編海外文学の名作として読んだのは、そうですね。
・パール・バックの『大地』
こんな程度です。
もっと読まなくてはいけないと、常日頃思っているのですが。
本題だが、集まった4人は、それぞれ「ラスコ何とかという人が殺人を犯したんだよね」と、その程度の知識なので話にならない。
ロシア文学は喰わず嫌いのようなもので、まず名前がやたら長くて覚えにくい。
さらに登場人物が多い。
ポールやジョンならともかく、なんとかビッチ、なんとかビッチと兎に角長い。
ともかく、全員が読んでないのだから、同じく未読の私も、いくら話し合っていてもさっぱり解らない。
そこで翻訳家の岸本佐知子氏が六部に分かれている内、順に、例えば第一部の初めの方の1ページだけ読んで、それをヒントに話し合う、次に中盤、そして終盤と、六部まで繰り返し、さあ、どんなストーリーなのか流れを組んで議論する。
然し、こんなことをして何か意味があるのだろうか。
著名な人が集まって話し合うから本にもなるが、若し私らが4人で同じようなことをしても、さっぱり無意味な時間になりはしまいか。
結局、最後は次回までに全員読了して、思い描いていたストーリーと合致していたかどうか、また話し合う。
まあ、4人で話し合えば面白いかも知れないが、こちらとしては本書を読む甲斐があったかと言えば疑問符だね。