その昔、作家の司馬遼太郎さんが大阪でマンション住まいをしていた頃、「夜、遅い時間に隣の部屋に大きな男が帰って来るんだよ、何か土方でもやっているんだろうか?」と友達に言ったらしい。
その友達が、隣の表札を見に行くと『野村克也』と書いてあるのを見て、「何言ってるんだよ、プロ野球のスター、野村じゃないか、南海の」と言ったというが、司馬さんはまったく野球に興味がなく、あの野村克也を知らなかったらしい。
戦後初の三冠王、その野村さんが金田正一さんの後を追うように逝ってしまった。
つい先日、金田さんを送る会で会場に姿を現したばかりではないか。
王さんは「戦友ですからね」とコメントを寄せていた。
そうなんですね、巨人のV9時代を知る人がどんどん亡くなっていく。
友引という言葉があるが、先年、まさかの星野、衣笠が相次いで亡くなってビックリしたことがあった。
ONより年下の星野が先に逝くなんて。
野村さんの教え子は今や監督、コーチになっているが、みんな私より若い。
野球界もこれからどんどん寂しくなっていく。
野球界ばかりではない、相撲界にしてもそうだ。
65歳の定年を待たずに亡くなる人が多い。
いずれにしても、近年、急速に人生の先輩方が亡くなっていく。
心太点方式みたいなものか。
古い順に押し出されていく。
昭和も遠くなるにけり。