愛に恋

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鈴木晴信 1725年-1770年7月7日

江戸時代、神社やお寺は人気の観光スポットだったとか。
自然、客を目当てに境内には水茶屋も出来るというもの。
水茶屋というのは、一椀五文ほどでお茶や団子を出す出店のことで、今の値段では125円ぐらいらしい。
その客寄せのために置かれたのが看板娘。
 
中でも評判を呼んだのが江戸谷中、笠森稲荷にあった鍵屋のお仙。
あの「お仙泣かすな馬肥やせ」のお仙ではない。
こちらは元祖、アイドルのお仙。
戯作者の大田南畝の評を借りればこうなる。
 
「一度、かえりみれば人は足をとめ、再度、かえりみれば、人は腰をぬかす」
 
そのお仙が、絵師の鈴木晴信によって描かれた錦絵がこれ。
 

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これが爆発的に売れ、本物のお仙を一目見ようと男たちは茶屋に殺到。
勿論、鍵屋は大繁盛!
ここぞとばかりお仙グッズまでが量産され、これも飛ぶように売れたとか。
元祖、会いに行けるアイドル!
然し、これにはからくりがあり、裏には名プロデューサーの演出が。
仕掛人は幕府御庭番、倉地甚左衛門。
笠森稲荷は倉地の領地で、参詣者が増えれば、お賽銭の収入が上がり地代も取れる。
 
だが、どういうわけか、人気絶頂だったお仙は突然姿を消し杳としてその行方知れず。
驚いた江戸庶民はお仙探しに躍起になるが、二度と姿を現すことはなかった。
それもそのはず、プロデューサーの倉地と所帯を持って雲隠れ。
 
ふん、プロデューサーとね、雲隠れか!
現代にも通じる話ですね。
それにしても腰を抜かすほどのお仙とやら、私も一度お目にかかりたかった。
 
鈴木晴信 1725年-1770年7月7日
晴信には春画の「風流艶色真似ゑもん」という作品があるが、嫁の妊娠中に旦那が浮気をしていたというもので、右手に燭台を持ち、旦那の褌をつかんでいるのが嫁で、浮気の現場に踏み込んだまでは分かるが、嫁まで乳を出しているのが解らない。
 

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