愛に恋

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最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 二宮敦人

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東京藝術大学の入試倍率は東大の3倍、私にとっては入りたくとも入れない縁もゆかりもい狭き門。
そこに集う若き天才集団の日常に迫るルポルタージュで面白そうなので買ってみた。
いったいどんな大学なのか?


理科三類平成27年度の志願倍率は4・8倍で100の枠を約500人が奪い、対する絵画科の志願倍率は17・9倍、80の枠を約1500人が奪いあったとされるが、藝大は芸術界の東大らしい。
一次試験、二次試験と何日間かにわたって行われ、まるで、中国の官吏登用試験「科挙」のようだとあるが、それは大変だ!


著者は、それぞれの科目で確かに聞きしに勝る勉学に集中する生徒にインタビューを敢行、然し、ある疑問が頭から離れないという。
つまり、それって社会で役に立つのか、卒業してから食べていくことが出来るのか。
具体的には平成27年度の進路状況、卒業生486名のうち「進路未定・他」が225名。
一体、彼らはどうなったのか確かに疑問だ。

生活できなければ何のための勉強であったか、愚問だが凡人には不可解。


逆説的に言えば就職している時点で、すでに落伍者とも言えるらしい。
芸術を諦め、就職するより他なかった。
多くの藝大生が目指すのは作家、作品を売って食べていける画家、工芸家、彫刻家、作曲家、演奏者、指揮者。

然し、そんな存在はほんの一握りで、何年かに一人の割合で作家を生み出すが、残りはフリーターになっていく。
そう考えると、藝大に進むにはいくら才能があったとしても、所詮はバイトとしての生活が待ち受けるのかと思うと、初めからチャレンジしない方が良かったのか悩ましい。

だが、人生はチャレンジ、決して無駄ではなかったといってあげたい。


確かに芸術は教えられるものじゃないと言うように、名作の作り方というのはないわけで、それなりの基礎を身に着けた後は、総てが才能如何にかかってくるわけだ。
努力とは違うところに存在する何かを見つける旅なのか。

 

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