愛に恋

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ロレンスを愛した女たち 中村佐喜子

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まったくどうも『チャタレイ夫人の恋人』を読んでもいないのに、D・H ロレンスの伝記を読んでどうするの、なんていうもんです。
故に、彼が天才かどうか判断する材料を持ち合わせていないというのが正直な感想。
 
ともすればこの作品の性的描写と、邦訳の出版をめぐる裁判沙汰ばかりが注目されがちなD・H・ロレンスとは、一体どのような作家であり、何を描こうとしていたのか。没落貴族の娘、社交界の花形、女権論者、女流作家など数多くの女に愛され、放浪を続けた実生活と主要作品とを関連づけ、天才作家の実像を描き出した力作評伝。
 
と解説にあるが、不倫の果てに射止めた年上の女性と結婚、それ以来、自宅というものを建てなかったようで、世界中を旅して周る生涯だった。
確かに日本では、いや私自身、D・H ロレンスといえば『チャタレイ夫人の恋人』しか知らない。
或いは伝記本を読むより裁判記録を読んだ方が面白かったか。
著者は日本人ということだが、まあ良く調べたこと、書く方も書く方だが読む方も読む方で、ノンフィクションにありがちな登場人物の多さに、400ページ以上を完読するのは、ややうんざりした。
 
中公文庫の絶版本には貴重な本が沢山あると思うが、併し本書などは、よっぽど何かない限り復刊しないのではないかと思うほど退屈だ。
著者が悪いのではなくロレンスの生涯は、伝記を読むほど面白いものではない。
だが、名誉のために言っておくと、『チャタレイ夫人の恋人』だけが彼の作品でないことは勿論なのだ。
 

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