ジュール・ルナールと言う名を聞いても思い浮かぶのは、小説『にんじん』ぐらいしかない。
中学生の頃、学校の図書館に行っては放課中に読んでいた本だ。
結局、完読出来なかったが。
そのルナールに『博物誌』という書がある。
その中に「蝶」と題してこんな一文がある。
二つ折の恋文が、花の番地を捜してる
これは凄い!
いや、本当に凄い文章。
簡潔にして明瞭。
私の憧れるような名文。
いつかどこかで書いたが、名文とは旅先で美人と擦れ違うようなもの。
ハッとするような出会い。
そんな文章が書けたらどんなに素晴らしいか。
てふてふが一匹 韃靼海峡を渡って行った
なんていふ詩もあるが。