愛に恋

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おらおらでひとりいぐも 若竹千佐子

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第158回芥川賞受賞作品、さて、何が出るかな何が出るかなと読み進めたが、はて、何を言っているのか・・・?
全てが東北弁で語られているので読むのも一苦労だが、理解するのも大変。
多くの人が手古摺っているような感想を寄せているが、これは方言ばかりではなく内容にしてもかなり入りにくい。
 
つまりはなんだ、74歳になる主人公桃子さんは、離れて暮らす孫の成長を楽しむよりは、老いを感じながら日々、亡くなった夫や懐かしい祖母などを思い出しつつ、独り暮らしの寂しさからつい、亡き人に話しかけてしまう情景を東北弁で語らせているのだろうか。
 
「あいやぁ、おらの頭このごろ、なんぼがおがしくなってきたんでねべが」
 
老いの境地とは独り部屋の中で死者との邂逅を繰り返す、そんな孤影が見えるようで物悲しいが、老いとは一体、どのような場所に位置しているものなのか。
老境に達し、両親への追慕の中で生きる。
戻れない時代のことだけを考える時間、それが老いの佇まい。
 
飼いならし自在に操れるはずの孤独が暴れる。
時間がたてばさみしさなどというものは薄紙をはがすように少しずつ解消するはずなのだ。
 
そのように生活してきたはずなのだが思うようにままならない。
これは一生の付き合いになるのかと諦観する毎日。
本作の著者は、史上最年長受賞の63歳だとか。
老いの準備をするかのように、寂しさと哀しさ、去って行った人への郷愁を語らずにいられなかった、そんな心境なんだろうか。
 
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