愛に恋

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死刑確定直前獄中日記 永山則夫

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永山則夫に関する本と言えば何を読んだか。
 
・死刑囚 永山則夫 佐久隆三
・裁かれた命 死刑囚から届いた手紙 堀川恵子
・死刑の基準 「永山裁判」が遺したもの 堀川恵子
・異水 永山則夫
 
永山事件に関してはいろんな面で感心を持った。
確かに、その生い立ちには同情をくむところが多く、永山本人は母親に二回棄てられたと言っているほど、兄妹は辛酸を舐めた。
更に兄からの虐めにもあっている。
生い立ちに於いて悲惨この上ない。
 
だが、しかしなのだ。
裁判所の判断は、他の兄妹は同じ環境に育ちながら犯罪に手を染めたわけではなく、則夫ひとりが凶悪犯になったことを厳しく指弾している。
その通りで、いくら苦労したからといって何の罪もない一般市民を4人も殺めることは許されない。
ましてやタクシー運転手に関しては「あっ、ちょっと待って」と言っているのにも関わらず、躊躇わず射殺している。
 
被告は無学、社会悪、環境などの所為にしているが、それを以って許されるわけではない。
本書は永山則夫、最後の日記になるらしいが、読み物としては決して面白いものではない。
読書、手紙、面会など日々の日常が箇条書きのように書かれている。
ただ、拘置以来の勉強と読書量は大したもので、様々な分野にわたって研究している。
然し、日記から読み取れるのは、やや独善的になり過ぎ、気負いを感じるがどうだろう。
思想、哲学などを学んだためと思うが、4人を殺害した罪は大きく、手紙の端々に知人の健康など思いやる気持ちがあるならば殺害した人にも家族がいたことを思い知るべきであろう。
 
自身、なんとか死刑を回避したかったようだが、果たしてその考えはどうだろうか。
よく知られているように作家として著作もそれなりにあり、印税の使い道など手紙で支持しているが、本人はこのまま刑務所暮らしで、原稿と向き合う生活を維持したかった、それも人情。
しかし、それは許さない。
惜しむらくは、永山ほどの向上心があれば、もっと違った生き方もあったはず。
 
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