愛に恋

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バッタを倒しにアフリカへ 前野ウルド浩太郎

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先ず、この表紙にしてやられた。
上手いデザインだ!
バッタを倒しにアフリカへ行く、その訳とは?
行き先はアフリカのモーリタニア、と言っても名前しか知らない。
著者の名前、前野ウルド浩太郎の「ウルド」とはモーリタニアで最高に敬意を払われているミドルネームで「〇〇の子孫」という意味らしく、バッタ研究所のババ所長から授かり改名したとある。
 
そもそも著者を昆虫の世界に導いたものは『ファーブル昆虫記』だったとある。
子供の頃に将来の夢と出会えるのは常々素晴らしいと思っているが、ここにも夢を叶えた御仁がいたわけだ。
その夢が更なる大きな展望を見せたのは、自分が研究しているサバクトビバッタがアフリカで大発生し猛威を振るっていると聞いて、その大地、モーリタニアまで遥々、メカニズムの解明と問題解決のためにやって来た。
 
過去、一世紀にわたって世界的に研究が積み重ねられ、論文は一万報に達するというのに未だ解決をみないバッタの襲来。
土地の人にとっては全ての植物を食い尽くしてしまう害虫でしかないが、著者にとっては愛すれど切ないバッタの被害を食い止めるため駆除に乗り出す、そのためにはまず習性とデーター集め。
しかし、広大な面積の何処にいつ現れるか分からない相手を待ち続けるにも現地スタッフを雇う金がいる。
 
ともあれ昆虫学者として生きていくためには論文を書き、認めてもらわなければならない。
何しろ実家から13000キロ、飛行機で35時間、片道60万円という距離と費用。
途方もない夢に人生の凡てを賭けた男の物語といってもいい。
ババ所長の話では2003年に大発生した時は500㎞も続いたというから恐ろしい話だが、バッタを追いかけることが、即ち夢を追いかけることになる、ある面、羨ましい。
 
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