愛に恋

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去年マリエンバートで

1960年フランス制作の『去年マリエンバートで』という映画を知っているだろうか。
ストーリーもなく、シナリオすら存在しない登場人物3人の役名もない。
ただ「去年、会ったかどうか」の会話が繰り返されるばかりの映画。
私が持っている1988年版『洋画ベスト150』では第65位に選ばれている。
 
1963年 製作・公開のイタリア・フランス合作映画『8 1/2
1975年公開、ギリシャ映画の旅芸人の記録と共に、私の中では難解映画ベスト3に入る。
特に『旅芸人の記録』は実に230分という長大なもので、見ていてサッパリ解らぬが、これも名作と言われる作品なので人の感性というのは不思議なものだ。
 
ところで、マリエンバートだが、温泉保養地として有名なチェコの地方都市で、古くはカフカショパンなどがこの地を訪れている。
が、何と言ってもこの都市を有名にしたのはゲーテの『マリエンバートの悲歌』で、この世界的に知られる詩集を編んだのは最晩年の1823-1824年。
 
別荘を持っていた未亡人、レヴェンツォ夫人と知り合いで1821年の夏に訪れ、ひと月近く滞在し毎日のように別荘へ通った。
翌年の夏にも夫人からの招きがあり6月19日から7月24日まで滞在。
さらに、その翌年もマリエンバートにやって来たゲーテは、満を持してプロポーズ。
その時、歴史は動いたではないが、時にゲーテ74歳。
当然、レヴェンツォ家では夫人に対するプロポーズだと思ったが、ゲーテが見初めた相手は19歳の長女ウルリーだった。
 
一家は「いま暫くの御猶予を」と言い残し、そそくさとマリエンバートを去った。
憐れなりゲーテ、と言いたいところだが天才のやることは解らない。
夫人がマリエンバートを後にしたのも、うべなるかな。
さて、そこでだ!
『マリエンバートの悲歌』はAmazonで幾らなのか調べてみた。
 

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現在は1774円、さてこそ『マリエンバートの悲歌』を持ってマリエンバートで温泉と洒落込む。
それが最近の我が妄想!
そして翌年、こう言う。