愛に恋

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写楽殺人事 高橋克彦

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 少し小説とは話が違うが、昔から諸説紛々言われてきた写楽とはいったい誰なのか、という例の話、生前、池田満寿夫さんがその正体を追っていたが、いろんな説があってよく分からない。

写楽とはやはり阿波藩の能役者、斎藤十郎兵衛が浮世絵師という別の顔を見せるときに使った名前なのか。
従来写楽の正体を巡っては、有名な画家説のほかに、版元の蔦屋十三郎説と能役者斎藤十郎兵衛説があったが、近年ではやはり斎藤十郎兵衛ではないかという説が有力。
ともあれ斎藤十郎兵衛とはどんな人物なのか。
斎藤家の菩提寺過去帳には以下のように記載されている。

八町堀地蔵橋
阿州殿御内
藤十郎兵衛
行年五十八歳
千住ニテ火葬

阿州とは阿波藩のことで死去は文政三年(1820)。

一方、写楽のデビューは寛政六年(1794年)。
逆算すると十郎兵衛は三十二歳。

つまりは能役者は武士に位置づけられていたため身分を隠したと。
寛政年間の触書にこうある。

文武之道相励み風儀を改めるべし

武士が浮世絵を書くなんざ以ての外、という訳である。
そして十ヶ月後、写楽は忽然と姿を消しその行方杳として知れず。
歴史はロマンの宝庫。
 
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