愛に恋

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離婚 色川武大

 
色川武大阿佐田哲也が同一人物だと知ったのはそんな昔のことではない。
阿佐田哲也は麻雀小説作家として有名で、阿佐田哲也は即ち「朝だ、徹夜」から来ているらしく、その道では著名な作家らしいが、今まで色川武大阿佐田哲也名義の本は一冊も読んだことがなかった。
併し先日の古書市で、本書が第79回直木賞受賞作と知って買ってみたのだが、私にはどうとも言えない作品だった。
 
芥川賞受賞作品の中に、受賞評価の意味が分からず、首を傾げるような本は何冊かあったが、直木賞の中では初めてと言っていいほど、疑問に思ってしまうような小説だった。
まあ、はっきり言えば、これの何がいいの?
 
羽鳥誠一の家に、「わたしをお妾にしてくんない」と、すみ子が転がり込ん出くるところから物語は始まり、何となく同棲、その後、何となく結婚し、何となく離婚する。
しかし、二人は離れられず、また何となく一緒に住み始める。
腐れ縁なのか、決断力がないのか、私小説的なものらしいが、煮え切らない二人の関係が理解出来ないわけではないが、文学としてはどうも深みに欠けるように思うのだが。
 
結婚の意義、孤独の埋め合わせ、性的意味合いでの男女の同居など、もう少し掘り下げても良かったように思うがどうっだろう。
 
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