愛に恋

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城ヶ島の雨 倍賞千恵子

少し前のことになるが、長い間、私の中でくすぶっていたある大きな疑問が解けた。
城ヶ島の雨』の歌詞にある「利休鼠の雨が降る」とは何のことか?

曲を聴いてもらいたい。


城ヶ島の雨 倍賞千恵子.flv

利休とはおそらく千利休のことだとは思っていたが利休鼠とは何か。
それと雨とはどういう関係があるのか。
 
江戸の三大改革とは享保の改革寛政の改革天保の改革のことを指すが江戸時代を通じ度々、贅沢禁止令、つまり奢侈禁止令だが、太平の世が長く続いたことで町人にもゆとりが出来、贅沢が横行、幕府はあれやこれやでやたら禁止令を出す。
その最たるものが衣服で、身分を厳格にするためにも必要な措置であった。
 
当時、庶民に許されていたのは茶色や鼠色など地味なものばかり。
そこで職人たちは限られた色の中で様々に工夫を凝らし新たな色を考案、それが“四十八茶百鼠”と言われるもので、なんと茶色、鼠色、藍色だけでそれぞれ百色にも及ぶバリエーションを考案した。
それがこれで!

48茶

この中段右端に謎だった利休鼠がある!

この色を見て目からウロコ。

そうか、錦絵の時代、雨模様を書くのに灰色がかっているのはこれのことか。

確かに利休鼠の雨色だ。

『城ヶ崎の雨』は島村抱月主宰・劇団芸術座の依頼を受け、大正2年に北原白秋が作詞したもの。

現在では利休鼠なんて言っても何のことやらさっぱり解からぬが、明治が終わってまだ日も浅い大正の頃は、一般的な言葉だったとも言える。

 

では何故、利休なのか。

わびさびを好んだ利休に因んだと解釈していいのでは。
謎が解けて良かった。
月光仮面に頼もうかと思っていた矢先だったので(笑