愛に恋

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追悼の達人 嵐山光三郎

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全編600ページ以上の大著で大変勉強になった。

と言っても忘れるんだなこれが。
明治以来亡くなった著名な文士の追悼文を通して、彼らが確かに生きたという刻印を読むようで参考になることの多い本でもあり名著だと思う。

嵐山光三郎という人は後書きにもあるが「絶版文庫男」という異名があるらしい。
名著、力作揃いだがおそらく硬派の本として読み手が少ないのだろう。

氏はこの本を書くにあたって5年間というもの追悼文ばかり読んでいたと言う。
本書を手に取ると分かるが綿密な調査と読解力、凄まじい執念のような力量を感じる。
近現代に於ける作家全員を洗い出し、出てきた灰汁を更に精査する。
玉石混淆、そこから見えて来た滋味を拾い集め人物像を形成していく。


本を書くにあたり取材するということを聞くが、そこに主観と客観を織り交ぜ説得力ある文章を構築するのは容易なことではない。

ノンフィクションを読んでいて一番驚かされるのは説得力ある文章に出会ったとき。
状況証拠を並べ立て、そこをどう文脈で繋いでいくか腕の見せ所だが完全に捻じ伏せられる。
そんな作家の一人だと思う。

「死してなお批判されるのは小説家の運命。しかし、そういった批判は追悼する者もまた課題を抱えている小説家であり、超克する相手として見つめている」

なるほど!

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