愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

白夜行 東野圭吾

 
最近の映画は暴力シーンや殺害場面など実にリアルに描かれているため、時に目をそむけたくなるようなことがあるが、小説の場合はあくまでも活字なので、ノワール小説も苦もなく読める。
あくまでもフィクション、しかし、ノンフィクションやルポルタージュとなるとそうはいかない。
実際に起きた事件の残虐性など、想像してしまうことがあるからいけない。
 
だが、ミステリーはどこまでいってもフィクション。
殺人や誘拐、犯人の生い立ちなどにも同情を寄せることなく、ただ面白さを追求するだけ。
 
私が苦手とするのは登場人物がやたらと多く、事件が煩雑で、元々は何が発端だったか分らなくなってしまうような展開、策士、策に溺れるようなものは好きではない。
または現実離れしたような、いくらフィクションとはいえ度が過ぎると興醒めしてしまう。
本書には、鍵を握る少年少女が二人登場するが、両者共にかなりの知能犯、だが、その二人が絡むシーンが殆んどない。
 
徐々に犯人は誰かということは分かってきても動機が見えず、計画を立てる場面も書かれていない。
違和感といえば、子供の頃から完全犯罪を策謀できる知能を持ち合わせていた主人公の桐原亮司。
 
1949年、一人の東大生が日本を震撼させた光クラブ事件というのがあったが、自殺した社長山崎晃嗣のような頭脳と重なり合うような部分もあり、とにかく面白く、分厚いので読みごたえも充分。
 
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