愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

善太三平物語 坪田譲治

 
 
凡そ40年ほど前に坪田譲治さんの作品をよく読んでいた。
この人は童話作家で、主に善太と三平兄弟を扱ったものが多く、特に『子供の四季』という作品が気に入り愛読するきっかけを作った。
今一度、単行本になって復刊したので読み返してみた。 
奥付には初版が昭和廿九年十一月十五日とあり、定価は220円。
それが現在では1500円。
 
著者紹介では、当時の坪田さんは65歳で3人の子供と2人の孫がいるとあるが、私はまだ生まれていない。
本書は懐かしさもあって買ってみたが、どうも昔ほどの面白さを感じない。
低学年の三平と高学年の善太が主人公で、全てが子供目線で展開していくが、今日ではあまり使われない言葉使いなどがあるので、やや違和感がある。
 
例えば「ウソだあい」と、やたらに語尾に「だあい」を付ける。
会話が多い小説で、彼らより年下の私だが、そんな話し方をしていたかな?
この作品は昭和12年に一度映画化されているが、それを数年前に見る機会があった。
 
何というか、ワンシーンが間延びしたように長く、とても不自然な演出で、監督はどういうつもりなのか感動には至らなかった。
昭和12年というと盧溝橋事変のあった年で、随分古い映画だが、子役を演じた二人は少し前までは存命していたが、今はどうなのか。
 
児童を主役にして書いた小説が文学に登場するのは、昭和10年近くになってからと解説にあるので、早速調べてみるに『路傍の石』は昭和12年次郎物語』は昭和16年から朝日新聞連載とあるので、確かに昭和一桁の時代では児童文学はなかったのかも知れない。
因みに戦前に撮られた『路傍の石』も見たが、こちらはよい作品だった。
まあしかし、これらの作品が今日残ったことはとてもいいことだ!
 
ポチッ!していただければ嬉しいです ☟