愛に恋

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ゴッホの手紙(上) ベルナール宛

 
 「芸術のうちに、神に値いする人間の偉大な資質が含まれないとしたら、それは凡庸陳腐な言葉と化すだろう。人類の最も気高い知彗から生まれた力強い心理や理由さえも、大衆にはなんの理解も印象さえも与えず、芸術家はそれをはっきり示そうと絶えず神の救いを求めるのである」
 
ベルナール
 
もっと、易しく言ってよね。
そもそも、なんで私がゴッホの手紙なんか読まないかんの?
 
「したがって芸術は在るものの説明ではなく、宇宙と神々の存在と、事物の変りやすい姿のかげにかくれた永遠の真理を表わすものなのである」
 
ん~、何だって、私は哲学と蜘蛛と色気のないキャリアウーマンが苦手なんだ。
だいたいやねベルナールさん、序文というのは普通5~6ページで充分でしょ。
それをアナタ、難解な序文を84ページも書かれた日にゃ私はね、身を捩って悶絶しそうですよ。
 
それにゴッホさん、貴方が書いたベルナール宛の手紙の数々、もう何と言うか徹頭徹尾、絵の話しかありませんね。
貴方のその真摯な姿、ひた向きに芸術だけに生き苦悩の毎日、読んでいるこちらも苦しくなります。
それにしても、よく勉強し観察力や洞察力も研ぎ澄まされていますね。
 
「入墨をした人種、黒人やインディアンなどは次々に滅亡するか堕落してしまう。そしてアルコール瓶と財布と梅毒を持ったむごい白色人種は、いつになったら満足するんだろう。偽善と強欲と非生産性な身の毛もよだつ白色人種」
 
見抜いてます、さらに!
 
「知りたいことは、空の最も強い青の効果だ」
「黄色やオレンジ色のない青は考えられない」
 
ゴッホさん、ひょっとして貴方は私のような凡夫とは違い、色彩が違った感覚で見えていたのでしょうか?
 
「一番美しい絵は寝床のなかでパイプをくゆらしながら夢みて、決して実現しない画だ」
 
そういうものなんでしょうかね。
 
ともあれゴッホという人は私が思っていた以上の勉強家で芸術に取り憑かれている。
ベルナールは1868年4月28日生まれで、ゴッホは1853年3月30日だから15歳ほどゴッホが年上で、文面には世俗的な話しは全くなく、あれを見なさい、これを読みなさい、時には忠告や励まし、健康には気を使い体力をつけないといけないとも言っているが、その本人が2年後に自殺してしまってはどうしようもない。
ゴッホはこんなことも言う。
 
ドラクロアという奴は歯が抜けて気も衰えてからはじめて絵がわかった」
「偉大で力強い芸術家のバルザックは、近代芸術家たちにとって、性行為の節度と制作力とは関連すると述べている」
 
なるほどね!
絵が売れない生活を余儀なくされる中、芸術家としての将来の夢と弟からの仕送りという苦悩。
実のところゴッホの脳に何が起こったのだろうか?
因みにゴッホからベルナールへ送った最後の手紙、第二十一信は1889年12月始め。 
取り敢えずは上巻、ベルナール宛はの手紙を読んでみたが、中・下巻は弟のテオ宛の書簡。
 
いやはや、美術論ばかりでは聊か疲れる(汗
女の話しと言えば売春婦ばかりで愛人や恋人の存在がないのが哀しい。
やはり、付き合うには難しい人物だったのだろうか。
 
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