愛に恋

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本で床は抜けるのか 西牟田靖

 
数年前のこと、柄にもなく平安神宮の夜桜見物に出かけたことがある。
途中、神宮の東側の通りを歩いていたら思いがけなく古本屋を見つけたはいいが、なんと木造一軒家がまるまる本屋でビックリした。
 
 
入口からしてこのありさまで、二階建ての一軒家を店主が買い取って古本業を営んでいるように思えたが、それにしても一階は言うに及ばず二階も古書が所狭しと並んでいる。
その上、客の数を含めるとかなりの重量がかかっているはずだが床は抜けない。
私はそんなことを考えながら室内を巡っていた。
もし、床が抜けたら階下の人を含めて死亡者が出てもおかしくないような店構えだが、それらしいニュースを聞かないところをみると、あれ以降も無事営業を続けているのだろう。
 
しかし、この実例があるから本で床は抜けないといえるのかと言われれば意外にそうでもないらしい。
井上ひさし氏の仕事部屋の床が抜けたと書いてある。
しかし、井上さんも井上さんだ。
六畳一間の部屋に六千冊の本を積み上げていたら、そのうち床が抜けるのではと思わなかったのだろうか!
 
第一、古本の購入費からして尋常じゃない。
一度に何百万円も買うというから驚く!
収納出来なくなった本は郷里の山形県川西町に寄贈、何とその数13万冊。
著者は増殖する一方の書籍に対して、床が抜ける前に対策を打つ、蔵書の何割かを電子化するわけだ。
それ専用の業者もあるらしいが、困ったことに著作権法違反の可能性もあるので多くは廃業したとあるが現在はどうなっているのだろうか。
 
私の場合は床が抜けるほどの本もないので電子化など考えたこのもないが、電子化反対の意見がなるほどと思うので引用した。
 
「本の紙は手触りがあって大きさがあって厚みがある。あの話はだいたいあそこだって、空間的に覚えているわけですよ。電子化って、場所がないじゃないですか。場所がないのって、すごく記憶に残りにくい。身体化されていないんです」
 
確かにそうだが、最近の例を見ると、地震津波、大雨などで大切な蔵書を失うばかりか、場合によっては倒れて来た書棚の下敷きになって命を落とす場合もある。
いずれにしても、これは本に埋もれながら生活しているような人の場合で、廊下、階段、トイレと次第に侵入していく本に対して家族の生活を圧迫し夫婦喧嘩の種になり離婚というケースもある。
事実、著者の奥さんは子供を連れて出て行ってしまった!
 
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