居眠り狂志郎の遅読の薦め

未だ休読日に至らず

さよならドビュッシー 中山七里

 
第8回『このミステリがすごい!』大賞受賞作。
この人のピアノ演奏を絡ませた作品の特徴は演奏技術を文章として起こせるところ。
音符を文章化する技量は並大抵ではない。
目に見えない音を何ページにも亘って恰も小説から聴くように書く。
ミステリーでありながら事件に対する比重がピアノレッスンやコンクールの陰に隠れて何やら薄いような内容にも取れる。
 
名古屋の資産家を祖父に持つ16歳の少女。
仲のいい従姉妹とピアノ練習に励む日々。
ある日、屋敷が火災に見舞われ、祖父と従姉妹は焼死。
彼女自身も全身火傷。
一見、事件性はないように見える火災、という内容だが、ストーリーテラーとでも言うのか、出火直後の描写には少し感動する。
あやうく涙が落ちそうになって一気に興奮度が高まった。
 
それにしても御自身、よほどクラシックに関して造詣が深いのか、小説でここまで緻密に音を表現できるのは素晴らしい。
一連のシリーズで探偵役のようにして登場する岬洋介、司法試験をトップで合格しながら裁判官、検事、弁護士と何れの道にも進まずピアニストを目指したという設定にも至極興味を惹かれる。
他の作品も読んでみるか。
 

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