居眠り狂志郎の遅読の薦め

未だ休読日に至らず

月と六ペンス サマセット・モーム

 
 結局、モームは作中で「月と六ペンス」の意味について触れなかった。
これもまた珍しい。
タイトルが一度も出てこない!
解説者はこう読み解く。
 
「月は夜空に輝く美を、六ペンスは世俗の安っぽさを象徴しているのかもしれないし、月は狂気、六ペンスは日常を象徴しているのかもしれない」
 
と言っているが、私には解らない。
物語はゴーギャンにヒントを得て書かれているが、どこまでを事実としているのか判然としない。
ゴーギャンはストリックランドという名前で登場し、40歳で突然ロンドンの株式仲介人を辞め仕事も家庭も捨てパリに出奔する。
 
その連れ戻し役を妻から頼まれ引き受けたのが「私」つまり、モームというわけだ。
しかし、計画は失敗しストリックランドは画家になることを宣言する。
ゴッホとの間には友情は芽生えずストリックランドはタヒチに旅立つ。
ゴッホに関する記述はなく、貧困に喘いだ事柄だけが多い。
 
後半は「私」が15年後のタヒチへ赴き、9年前に死んだストリックランドの晩年の姿を主治医だったクラト医師から聞き出す。
感動小説とまではいかないが、本当にゴーギャンは島の奥地でハンセン病で亡くなったんだろうか。
証言によるとストリックランドの最期は人間の姿を留めない哀れな姿だったとある。
 
ストリックランドをゴーギャンとして考えた場合、性格的にはかなり世間と折り合いのつかない不適合な人物だったと思われる。
協調性がなく乱暴で絵画だけに憑りつかれた異常者のようだ。
 
病気が進行する中、ストリックランドは終の棲家となった小屋の内部に傑作的な壁画を描いたが、それも遺言によって焼き払われた。 
モームが見たゴーギャンが本当にこのような人物だったらゴッホとの共同生活など上手く行くはずがない。
 

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