愛に恋

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父・丹羽文雄 介護の日々 本田桂子

 
著者は丹羽文雄の長女で、ブログを書くにあたって少しこの親子に付いて調べてみたが私の記憶に間違いはなかった。
丹羽文雄三重県四日市に1904年(明治37年)11月22日に生まれ2005年(平成17年)4月20日に没している。
つまり満百歳の天寿を全うし文壇の生き字引と言ってもいい大御所で文化勲章も受賞している。
 
若い頃の写真を見ると目の澄んだ色男で昔は「文壇の長谷川一夫とまで言われていたらしい。
その丹羽を襲ったのがアルツハイマー病。
丹羽の妻も認知症を患い、二人を介護したのが娘桂子で瀬戸内女史の薦めもあって筆を執ることになった。
 
後書きには1997年4月吉日となっていので、先に書いた私の記憶とは文雄より娘桂子の方が先に亡くなっいるということ。
新聞の死亡欄でそれを読んだ記憶があり、まさか父より先に死んだのではと当時、疑念を覚えたためよく印象に残っていた。
 
桂子という人は大柄な美人で、あれはいつのことだったか、ドキュメンタリー作品で介護中の親子を扱った番組を見たことがあり、今思えば録画しておくべきだったと後悔している。
書棚に並ぶ本を桂子さんが父に紹介しているような場面があった。
 
「これは誰が書いた本?」
「・・・」
「これはお父さんが書いた本よ。これも、これもみんなお父さんが書いたものよ」
 
後にも先にも、この親子を見たのはその一回限り。
丹羽家には跡取りの長男も居だが癌を発症、桂子さんが両親を介護する傍ら姑の介護も重なり、もともと酒好きだった桂子さんはストレスからアルコール依存症に陥り、2001年4月15日に虚血性心疾患により65歳で病没。
 
母親は1998年9月に死去しているが父より先に逝ってしまった。
本文では自分の老後や両親の見送り方、またはストレスをどう発散するかなど同じ悩みで苦しんでいる人たちにエールを送っていたが過労死と言ってもいい最期だった。
 
自身は昔から大のファザコンで父こそ理想の男性と思って育ったが、父を残して逝くとは思ってもみなかったろうに。
本書は死の4年前に書かれたもので読み進むにつれ複雑な心境になってくる。
哀しきは当の丹羽本人が娘の死を理解出来ていなかった。
 

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