愛に恋

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天皇の料理番 (上・下) 杉森久英

 
 
 
著者は既に故人となっているが、どういうわけか近年、この原作を元にしたテレビドラマが放映された。
杉森久英は伝記文学を得意とする人で私も過去、何作か読んでいるが『天皇の料理番』はたまに古本屋で見かける程度の絶版本で、先日、復刻版が出ているのを見て購入した。
 
復刻版マニアの私としては、この際だから読んでやろうという魂胆だったが、当初、この人には珍しく大衆文学を書いたのかと思いきや読み進めていくうち、どうやらこれは伝記小説で主人公の秋沢篤蔵なる人物は秋山篤蔵という人のモデルで実在の人物らしいが私にはまったく馴染みのない人であった。
 
今まで各分野で名を残した人の伝記本を読んできたが料理長の伝記というのは初めて読んだ。
明治に生まれた篤蔵は21歳で単身フランスに渡り腕一本で技術を磨き、天皇の料理番、つまり宮内省の初代主厨長、簡単に言えば総料理長になった人で昭和46年、フランスの料理アカデミーから、名誉会員に推薦された初めての日本人でもあるらしい。
 
まあ、それはいいのだが文学として見た場合にはどうも底の浅さが目立つ内容で上・下巻、合わせて700頁もあるわりには経歴を足早に紹介していくようでイマイチ楽しめなかった。
更に高級料理にまったく縁のない私には食材からメニューまで品名を読んでも実感がわかず、或は「ある料理長の伝記」と書いてあれば読まなかった作品かも知れない。
 
ところで解説によると1980年にマチャアキ主演でドラマ化されていたようだがこちらもまったく知らない。
 

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