居眠り狂志郎の遅読の薦め

未だ休読日に至らず

淳之介さんのこと 宮城まり子

 
今の時代、まるで魔女狩りのように芸能人の不倫を暴き公開裁判よろしく昼の情報番組などで週刊誌ネタを元に同じ芸能人が被告を吊るし上げているが、不倫の是非はともかく一般社会ではおそらく5万という人が不倫を経験していると思う。
瀬戸内寂聴「だって恋愛なんて雷に打たれたようなものでしょ」と言っているが人間、好きになった感情に抗うのはかなり難しいのは確かで、ある面、いにしえより古今東西、不倫は人類の文化とも言えようかと思うがどうだろう。
 
今回の主人公、吉行淳之介は文士の中ではかなりモテた人として知られている。
言うまでもなく宮城まり子は吉行の妻ではない。
しかし、これほど男冥利に尽きる作家も珍しい。
本書とは別に本妻吉行文枝が『淳之介の背中』、愛人大塚英子の『「暗室」のなかで―吉行淳之介と私が隠れた深い穴』『「暗室」日記(上・下)』更に高山勝美なる女性の『特別な他人』と4人の女性が吉行の人生を彩っていたようだ。
 
大杉栄には妻堀保子と愛人神近市子と伊藤野枝
太宰には妻美知子と太田静子に山崎富栄と読み手のこちら側としては彩り華やかで面白いのだが。
それぞれに著書も残している。
 
津島美知子『回想の太宰治
太田静子『斜陽日記』
山崎富栄『太宰治との愛と死のノート』
 
太宰関係はかなり読んでいるが、この三冊も探し出して読んでみた。
こうなっては吉行を多面的に知るためにも吉行文枝、大塚英子、高山勝美の著書を読んでみたくなる。
はてさて、例によって前置きが長くなったが私としては吉行淳之介に一連の不倫騒動に付いて一筆書いてもらいたいところだ。
 
 
ところで宮城まり子だが経歴によると戦時中の昭和19年10月、宮城千鶴子の芸名で15歳にして大阪花月劇場でデビューとあるが女優、歌手として私の知り得るものは何もない。
しかし、「ねむの木学園」の創立者吉行淳之介の愛人としてはかなり昔から知っている、顔も認識しているが果たしてテレビで見たことがあるかどうか記憶にない。
 
話しがずれるが有名人宮城まり子は吉行の愛人として実に多くの文士と会っている。
ここに登場する殆ど全ての作家が鬼籍に入られていることを改めて感じ残念でならない。
少し例を挙げておく。
 
茉莉
埴谷雄嵩
舟橋誠一
 
今では皆さん本屋の棚に並び何思う。
 
さて、本題に戻るが吉行淳之介は子供の頃から体が弱く生涯病気との闘いだった。
結核アトピー性皮膚炎、喘息、腸チフス、躁鬱、乾癬、肝炎、白内障
最期は肝臓がんで死去するが葬式一切を取り仕切ったのは宮城で本妻は最後まで離婚に応じなかったが吉行の母の指示がものを言ったらしい。
 
二人の関係は37年の長きに渡って続けられ、本文は拙い文章ながら、まるで女学生のように一途に思う宮城の回想が縷々綴られている。
思い出すまま脈絡もなく、とにかく目次が多い。
そして良きパートナーとしてその最期を看取った。
 
しかし、死後に四人の女性が吉行の思い出を書くというのは並みのことではない。
強烈なライバル的な意識があったのだろうか。
とかく作家は死後、女性に書かれることが多く、妻、愛人、娘、いくらライバルが居ようと、その強烈な才能を目の当たりにすると女心は最大限の独占欲で盲目になるのか。
ねむの木養護学校の設立と数々の受賞歴を誇る、あの宮城まり子と不倫という経歴がどうも一致しない。
宮城まり子をして不倫に走らせる、それほど吉行は魅力的な男だったと受け止めればいいのか!
 

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