愛に恋

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英国王冠をかけた恋 渡邊みどり

1937年といえば風雲急を告げるヨーロッパで、翌年3月にはドイツがチェコを併合。
そんな中、ヒトラーを表敬訪問したのが先のイギリス国王ウィンザー公夫妻だが、公の真意はどこにあったのかよく解らぬ。
ひどくご満悦のヒトラーを現在も映像で見ることができるが、エドワード八世の退位は36年12月11日。
この日、BBCラジオを通じ、全国民に向かって国王は声明を発表。
2度の離婚歴あるアメリカ人女性、シンプソン夫人と共に人生を歩むと表明。
在位、僅かに11ヶ月という短さだった。
 
その結果、家族共々憂鬱な表情を浮かべたのが先年『英国王のスピーチ』で有名になった弟ジョージ六世。
ジョージには言語障害があり、人前で話すのが大の苦手なのだが、こともあろうに兄の退位によって新国王に即位。
 
40歳を過ぎても未だ独身だったエドワード八世の退位と結婚は国を挙げて論争の的で、英国国教会カンタベリー大司教や皇太后も反対したが国王の意志は固くシンプソン夫人なくしては人生を歩めないとまで言い切った。
 
しかしどうだろう!
世に言う「王冠を賭けた恋」、王位を捨ててまで恋に生きる。
出来るだろうか。
シンプソン夫人が離婚した二人の元夫はまだ存命で問題を煩雑にしているが、彼女の何がそこまで王を惹きつけたのだろうか。
 
運命とは解らぬものだ。
もし、父君ジョージ五世がもう暫く存命で欧州大戦に突入していたら二人の息子の運命も違っていたことだろう。
まさか、大戦勃発の最中ではいくら何でも退位とはいくまい。
国の存亡を懸ける戦いに突入した英国としては今は人妻と恋などしている場合ではないと聞く耳を持たぬだろう。
 
それにしても何故、シンプソン夫人なのかという問題に関してはエドワード八世にマザコンの傾向があったと書かれている。
皇太子時代の教育環境にも問題があったようで常に強い女性に憧れを持っていた。
写真で見るシンプソン夫人はすらりとした長身で内面的には男性的な強さを兼ね備え、国王もそのようなところに惹かれたのではあるまいか。
 
しかし、これこそは運命的な出会いで世紀の恋なのだろうか。
歴史は夜、作られるというが二人の恋の馴れ初めも夜だったのか?
 

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